『ヘルン文庫芳名録』のリポジトリでの公開

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◆ヘルン文庫の設置
Lafcadio Hearn(小泉八雲)の旧蔵書を収めたヘルン文庫は,富山大学の前身校の一つである旧制富山高等学校の初代校長の南日恒太郎が新しい学校に優秀な教師や学生を集めることを目的とし,開設に尽力しました。そして,同校の開校記念として,旧制富山高等学校の創設に私財を投じた馬場はる氏の寄附によって設置されました。

◆ヘルン文庫芳名録
1924年(大正13年)の開校以来,ヘルン文庫を訪れた人々は,その足跡を芳名録に墨痕鮮やかに残しています。芳名録は1930年(昭和5年)から始まり,現在まで続いています。今回,芳名録の第1巻から終戦後の第11巻(1957年)までを富山大学学術リポジトリToRepoで公開いたしました。
http://utomir.lib.u-toyama.ac.jp/dspace/handle/10110/12546
今回公開した芳名録の中には次のような著名人の名前を見ることができます。

◆ヘルン文庫を訪れた著名人
文部大臣であった鳩山一郎(第2巻)外交官,政治家であった松岡洋右(第2巻)経済学者,教育者の小泉信三(第2巻)明治から昭和にかけて活躍したジャーナリスト,評論家の徳富蘇峰(第3巻)富山県出身の国語学者,山田孝雄(第3巻)英語学者の市河三喜(第4巻)Lafcadio Hearn(小泉八雲)に学んだ倫理学者,友枝孝彦(第5巻)漢学者で『大漢和辞典』を著した諸橋轍次(第5巻)英語学者で研究社の『新英和大辞典』の編集に携わった岩崎民平(第7巻)富山県出身の英文学者で旧制富山高等学校初代校長南日恒太郎の実弟である田部重治(第7巻)後に総理大臣になる大平正芳(当時は大蔵事務官)(第8巻)後に東大総長となる矢内原忠雄(第9巻)物理学者であり随筆家の中谷宇吉郎(第10巻)国文学者の久松潜一(第10巻)英語学者で『岩波英和辞典』の編集に携わった田中菊雄(第11巻)などです。

このほかにも数多くの有名人がヘルン文庫を訪れています。これらの顔ぶれを見ると,ヘルン文庫が全国的に有名であり,また各界から重要視されていたことがわかります。

この芳名録にはヘルン文庫を訪問した感想などを記したものもあり,訪れた人々がLafcadio Hearn(小泉八雲)の蔵書に触れたその感動が伝わってきます。この芳名録によって,現代に生きる我々が時間を遡って当時の人々と感動を共有し,あらためてヘルン文庫を現代に生かすことができればと考えております。

今回公開した11冊の芳名録

上段:徳富蘇峰,下段左:松岡洋右,下段右:友枝高彦