明治三陸地震に関する英文リーフレット”The Great Disaster in Japan, 15th June, 1896″ (ヘルン文庫所蔵)をデジタル化公開

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2012年8月23日付の当ブログでも紹介しましたが、昨年、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の研究者である中川智視氏が、富山大学所蔵のヘルン文庫から明治三陸地震に関する英文リーフレット”The Great Disaster in Japan, 15th June, 1896″(『日本での大災害 1896年6月15日』)を発見しました。
ハーンには防災民話として有名な『稲むらの火』の原作となる”A Living God”(『生き神』)の著作があり、また、日本の地震災害に関する文章も残していることから、この発見はハーンの日本の災害への強い関心を示すものとして注目を浴びています。

富山大学附属図書館では今回、英文リーフレット“The Great Disaster in Japan, 15th June, 1896”の本文をデジタル化し、富山大学学術情報リポジトリToRepoから公開しました。
この英文リーフレットは、当時横浜で発行され、ハーンをはじめ日本に関心のある外国人にとって重要な情報源であった”Japan Gazette”に掲載された記事をリーフレット形式にまとめています(奥付が欠落しているため、出版の詳細な経緯については不明)。内容は”Japan Gazette”紙の記者が、明治三陸地震の津波被災地をめぐり、生存者の証言や、外国人記者から見た被災の状況をまとめたものとなっています。
中川智視氏による抄訳が富山大学学術情報リポジトリToRepoに掲載されておりますが、全文を参照されたい方は今回デジタル化した原資料をご覧ください。

なお、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は評論『地震と国民性』において、「日本が短期間に西洋の提供したすべてのものを受け入れ、利用できたのは、社会の非常に変わりやすい性質によってである。[その性質を利用することで]日本は、定期的に国土を荒廃させる恐ろしい突然の災害から、より効果的に自己を守る手段をやがて見出すだろう。」とも書いています。ハーンは日本を定期的に襲う災害と、それが日本人に与えた影響を深く考察しています。
東日本大震災を経験した現代の日本人が、ヘルン文庫から現代日本にも貴重な示唆を与える情報や思想を発見し、活用いただくことを期待し、今回のデジタル化公開を行うものです。